多くの人が、これだけのデメリットを被ってまで結婚するのは、やはり、それに見合うだけのメリットがあるからである。しかしここで私のいうメリットとは、今いったようなものではなく、もっと普遍的なものである。そのメリットはひとつしかない。それは、「話し相手がいる」ことである。生きていく中では、瓊末なことから人生を変えるような重大な選択まで、思案、決断しなければならないさまざまなことがある。その折々、独身者はつねに一人で思い悩むことになる。ある独身女性がマンションを買いたいと思う。相談に乗ってくれる人はいても、住む主体としての意見は出てこないから、あくまでも決定するのは自分一人である。その結果、あまり住み心地がよくなかったとしても、責任は自分で負うしかない。夫という相談相手がいたら、彼女が今苦しんでいる決定の悩みもだいぶやわらげられることだろう。葬式の香典を五千円にするか一万円にするかという些細なことでも、相談する相手がいれば、一人で背負わなくてもすみ、心的エネルギーを浪費しないですむのである。世の中には、配偶者に何も相談しないで、大事なことをどんどん決めている人もいるようだが、結婚によって得られるせっかくのメリットを生かさないのはもったいないことだ。